
私が仕事に楽しく取り組めていたのも、同期という存在がいたからです。
大きな会社ではないので、同期は彼と二人だけ。
最初から仲が良くて、お互いにたくさんの相談をしあう仲でした。
いつから、私は彼を男として見ていたのだろう。
目次
仲良し同期の存在
新卒で入社して5年、私の隣にはいつも仲良しの同期の存在がありました。
異性ではありますが、最初にあった時から意気投合し「社会人として頑張っていこう」「困った時にはお互いに助け合おう」と常に言い合っていました。
実際に、仕事で困った時だけではなく、プライベートの話しをするようになり、親友のような存在です。
男女の超えた友情ってあるんだな。
そんな風に思って、とても楽しく社会人生活を送っていました。
私に恋人が出来た時、別れた時にも一緒に喜んでそして悲しんでくれました。
仕事終わりにもよくごはんを食べて行って、家族よりも一緒に過ごす時間が長くて、二人の間には信頼関係も確かにあり、居心地のいい空間になっていたのです。
おめでとう!新婚さん!
彼に恋人が出来たのは1年前。
出会いから、恋におち、結婚を決めるまでずっと話を聞いていました。
結婚式への招待も受けました。
これまで公私ともにお世話になった同期の幸せな結婚は喜ばしいものです。
本当に心のそこから、笑顔で結婚する彼を誇らしくも感じました。
「次はお前の番だから、絶対に俺を呼べよ」
分かってますとも!
私だって、彼よりも幸せな結婚を夢見て素敵なパートナーを見つけるつもりです!
結婚式の前には奥さんになる女性とも会わせてもらいました。
おとなしめで可愛らしく、同期の一歩後ろを歩くタイプの女性。
私とはタイプが違うけれど、それでも感じがいい女性で「絶対に二人は幸せになれる!」と自信を持って私が宣言できる!と思っていました。
同期の彼の相談役は私の仕事でした
同期が既婚者になったとしても、私と彼の立場は何も変わりません。
これまでと同じように仕事に取り組み、切磋琢磨する相手でもあり、仕事で悩めばお互いに話をします。
ただ、やっぱり仕事終わりで二人で食事にいくなどのことはなくなりました。
それは自然な流れで私は奥さんの立場を考えますし、彼はそもそも新婚ですから早く家に帰りたいですよね。
愛する奥さんを自分のものにして、彼もとても幸せそうで満足そうでした。
それでも、悩みが一切なくなるということはありませんし、仕事は毎日山のようにやってきます。
いつまで経っても私は彼の相談役というものは変わることはありません。
これは同情心?それとも興味なの?
ある日、お昼休み前に同期からの連絡が来ました。
話を聞いて欲しいからランチ一緒にどう?
「また何かやらかしたか?」と思って「もちろん大丈夫!」と答えて、その時間になりました。
てっきり仕事の悩みかと思っていましたが、相談内容は新婚家庭のことでした。
はたから聞いていたら、小さなことですが本人にとってはとても大きなことのようです。
奥さんが最近イライラしていること、家事の役割分担が多いこと。
共働き夫婦なので、「そういうこともあるかなぁ」という感じです。
これまでは彼個人のことでしたのでどんなことでもズバズバと言ってきましたが、夫婦のことは思ったことがあっても言いにくいものですね。
しかし、同情する部分もあるし、家庭を覗き見ているような気持ちで興味心があることも間違いありません。
そんな話聞きたくない!
話が尽きることなく、その日は仕事終わりにも彼と食事をする約束をしました。
ちょうど、奥さんは仕事で出張だそうで、気を遣うことはないということみたい。
そこで話してきた相談こそが、きっと彼が一番悩んでいたことなのだと思います。
お酒を飲んで、良い感じで酔っぱらったところで「奥さんさ、あんまりエッチが好きじゃないみたいなんだよね」と。
セックスレスらしい。
そのことを聞いた瞬間、私の中で何とも言えない感情が湧き出てきました。
「聞きたくない」「そういうの知りたくない」
それは、同期の生々しい話を聞きたくないというよりも、嫉妬に似た気持ちでした。
何だか私、おかしい…
彼が急に男として見てきて…
彼と奥さんがセックスしている姿を想像すると、おかしな汗をかいて酔いが醒めていきます。
抱きしめるなんて…
下を向いて考える私、二人は個室の居酒屋で飲んでいたのですが、彼が隣にきて「大丈夫?」と顔をのぞかせてきます。
しかし、この感情を伝えてはいけないような気がして、何も答えることが出来ません。
すると、そっと私を上から包む彼。
そう、抱きしめられていたのです。
「俺が奥さんと結婚したのは間違いだったか?」
…それはどういう意味?
私はまだ自分の中の気持ちに迎えていません。
彼も若干の動揺を感じているようでした。
しかし、私を抱きしめる彼の手の力は強くなっています。
つい気持ちが…
「私、もしかしたらあなたを男として見ているかもしれない。今まで気付かなかったけれど、奥さんと仲良くしている姿を見たくないかも」
つい、その時の正直な気持ちが口から出てしまいました。
何となく、私の背中で驚いている彼を想像出来ました。
「出よう」
それだけ私に伝え、彼は支払いをしてくれて私の手を握って歩き出します。
私はこれから何が行われるのか分かっていました。
…相手は既婚者よ
…これまで同僚として仲良くやってきたけれど、関係が変わってしまってもいいの?
…もう後戻りが出来ないよ?
自問自答を繰り返しますが、私の足も彼の足も止まることはありません。
傍から見ると手を繋いで肩を寄せ合って歩いているようにも見えるはず。
既婚者とこんな風に歩くべきではないと分かっていますが、私はこのまま「流されたい」と強く願っていたのです。
優しく私が包む
街中にある薄明かりが灯るホテル。
誰かの目を気にせずにいい状況にホッとしたことを覚えています。
これから起こることは私たち二人の秘密にすればいい…
彼は今度は正面から私を抱きしめます。
壊れものに触れるかのように優しく触れて、背中をさすっています。
体を離すと彼は私の顔を覗き込み「本当はずっとこうしたいと思っていた。でも自分に自信がなかったからお前への気持ちは諦めたはずだったんだ、ごめん」とキスをしてきました。
…どうして謝るのだろうと一瞬考えましたが、唇が触れた瞬間から私は欲望しか感じることはなくなりました。
彼が欲しい。
彼の全てを知りたい。
奥さんよりも気持ち良くしてあげる。
女として醜いかもしれませんが、私は彼を手に入れたかったのです。
彼の気持ちいいところを探し、私の自信のある体に触れさせ、そして二人で気持ち良くなるために私から腰を振りました。
彼のことが好きで仕方ない。
お互いの汁にまみれた時に、本心がわかったのです。
私の気持ちはどうなるの?
汗だくになった体を熱いシャワーですっきりさせ、彼とはホテルで別れました。
明日も仕事ですが、眠気なんて感じません。
「不倫」と考えると、ドキドキしますしさっきまでの彼とのことを思い出すと体が疼きます。
それに合わせて気付いた私の気持ち、そして彼からの想い。
私は24時間対応している電話占いをすることにしました。
話を聞いてもらい「私はこれからどうしたらいいでしょうか」と問いかけました。
「辛い恋になるわね。彼との縁はあるけれど、それは男女のものとはまた違う。彼は奥さんとの仲からの気の迷い。そこに気を許せる異性であるあなたが彼の心を揺れ動かしたのね。このまま不倫をしても一緒になれることはないわ、残念だけど」
私は考えました。
このままではいけない、それが自分の答えです。
明日、上司に移動願いを出そうと思います。
思い出として彼との一晩は心にしまい、奥さんとの幸せを願いたいと思える言葉でした。


